組踊「手水の縁」の歌碑

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    南城市知念山里に建立された組踊「手水の縁」の歌碑。

     

     

    中央の黒い石碑に解説がありました。

     

    組踊「手水の縁」は平敷屋朝敏の作で知念山口の盛小屋の娘「玉津」と波平大主のなし子「山戸」の男女の純愛を描いた唯一の恋物語である

     

    知念山口は現在の知念山里。盛小屋の意味がわかりませんが地方の富裕農家かもしれません。

     

    波平は現在の糸満市南波平。大主は按司に次ぐ身分ですから、山戸はいいとこのボン。なし子の意味が分かりません。

     

    "組踊としては"唯一の恋物語です。

     

     

    花見に出かけた帰り道、山戸は水を飲むために波平井(現存の井戸)に寄りました。そこには髪を洗いに来た玉津がいました。

     

    玉津に一目惚れした山戸は手水を飲ませて欲しいと懇願しました。手のひらですくった水を飲ませることは男女の縁を結ぶことを意味します。玉津はそれを受け入れました。

     

     

    それから山戸の山里通いが始まります。左手の歌碑を見ましょう。

     

     

    くらさらぬ

    忍で来やる

    御門に出ぢめしやうれ

    思ひ語ら

     

    じってしていられなくて

    ひそかにやってきました

    門においでください

    思いを語りましょう

     

     

    続いて右手の歌碑。

     

     

    結でおく契り

    この世ぢやでともな

    変るなやう互に

    あの世までも

     

    結ばれた二人の契りは

    この世だけではない

    変わるなよお互いに

    来世になっても

     

     

    と、イチャイチャしていたら、山戸が門番に見つかってしまいました。自由恋愛の許されない時代。玉津は密通の罪で処刑されることに(^^)

     

    玉津の父の部下である志喜屋の大屋子と山口の西掟が玉津を連れて知念浜の処刑場に着きました。そこに現れたのが山戸でした。

     

    山戸はどうか見逃して欲しいと大屋子と西掟を説得しました。ついに二人が折れ、玉津を処刑をしたことにして解放することになりました。

     

    で、山戸と玉津は幸せに暮らしたと(^^)

     

     

    今年の3月に国立劇場おきなわで上演された「手水の縁」。玉津/佐辺良和。

     

     

    「なぜ玉津はああも簡単にオチてしまうのか?」とか、「波平から山里まで歩いて片道3時間はかかるが設定に無理は無いか?」とか、「娘を殺してしまったと自責の念に駆られるオヤジの気持ちをどうしてくれるのか?」などを、良和君に聞いてみたいと思います。

     

    良和君は「馬鹿なこと聞くもんじゃありませんよ」と言いたいのをグッと堪えて、年長者に対してなんとか答えようとするでしょうね。

     

    じゃあ、やめとくか(笑)


    佐辺良和さんが家元を襲名

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      先週、琉球舞踊家の佐辺良和さんが所属会派の家元を襲名しました。6歳で入門して以来34年間、研鑽を積んできた会派です。

       

      一方、良和君は数年前に家業の昆布屋を継ぐことを決めていて、今朝も私が注文した商品を某青果店に配達してくれました。

       

       

      琉球舞踊の家元であり、市場の昆布屋のニィニィでもある良和君。この絶妙なバランスを理解したい方にはこの写真をお見せしましょう。

       

      組踊「雪払い」で主人公の思鶴を演じる佐辺良和。

       

       

      この人が三輪バイクに乗って昆布を配達してるんですよ。素晴らしいじゃないですか。市場の奥深さを感じますねぇ。

       

       

      さて、今日の私は良和君が置いていった空き箱を、昼前に昆布店に届けました。明日もまた、その箱で商品を運んでもらうわけですからね。

       

      C「空き箱持って来ました。ありがとうございます」

       

      佐辺母「あらCさん、わざわざありがとう。今日は何も無いんだけど、おにぎりが一つあるから食べる?」

       

      C「食べる、食べる」

       

      佐辺母さんからビニール袋に入ったおにぎりを渡された私。

       

       

      C「あっ、その新聞の写真を見たわぁ。恐ろしい写真やなぁ」

       

       

      佐辺母「えっ、恐ろしいって何が?」

       

      C「家元の認証状を貰った時の写真でしょ?。良和君と大先生の周りをオバハン達が取り囲んでるじゃないの」

       

      佐辺母「オバハン達って貴方(^^)」

       

      C「同じ会派の師範の皆さんでしょ?。それぞれに舞踊研究所を構えて、沢山のお弟子さんを指導されている先生方じゃないの」

       

      佐辺母「そうなのよぉ」

       

      C「琉球舞踊本流の会派で良和君の先輩ばかり」

       

      佐辺母「そうなのよぉ」

       

      C「良和君は家元になって、師範の皆さんを指導する立場になったわけよね」

       

      佐辺母「そうなのよぉ。良和がちゃんとできるかどうか。責任重大なのよね」

       

      C「でもまあ、良和君は目上の人を立てることが自然とできてるから大丈夫」

       

      佐辺母「あら、Cさんはそう思うの?」

       

      C「先生方も若い家元を盛り上げるように動いてくれるんじゃないかな」

       

      佐辺母「そうしていただけるように頑張らないとねっ!」

       

      C「大先生はそのあたりをお考えの上で良和君を家元に指名されたはずだから」

       

      佐辺母「うん、そうよね」

       

      と話は続き、だんだんといい気分になってきた佐辺母は、そこらへんをゴソゴソやって、私のビニール袋に次々と何かを投げ込んでいました。

       

       

      次の写真は車の中。重くなったビニール袋からは天ぷらや蒲鉾、みかんが出てきました。

       

       

      「選ばれし者の恍惚と不安、二つ我にあり」。それは良和君の気持ちであり、母親の気持ちでもあるわけよね。

       

      家元襲名、おめでとうございます。


      企画展「朝薫の五番」

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        国立劇場おきなわの企画展に来ました。

         

         

        今年は組踊上演300周年にあたり、各地で様々な催しが行われています。この企画展では、朝薫の五番(「執心鐘入」,「銘苅子」,「孝行の巻」,「二童敵討」,「女物狂」)で使われた衣装や道具が展示されています。

         

        鬼女の面と撞木(執心鐘入)

         

        天女の衣装(銘苅子)

         

        火を吹く大蛇(孝行の巻)

         

        私は組踊の舞台となった場所を訪ねるのが好きで、末吉の森(執心鐘入)、銘苅の森(銘苅子)、中城グスクと勝連グスク(二童敵討)などを歩きました。例えば、末吉の森を知っていれば、宿の女に追われた若松が寺に逃げ込むシーンのリアリティが増します。また、現場に立つことで、話の辻褄が合うことがあったり、新たな疑問が生じたりします。そこが楽しい(^^)

         

        また、朝薫の生家跡やお墓などを訪ねておけば、彼の生い立ちやその生涯を知る上で、役に立つことがあります。私は沖縄で育ってないので、そこで得られなかった知識を一生懸命に補おうとしてるのかもしれません。

         

         

        この日、国立劇場へは銘苅を抜けて行きました。

         

         

        深い谷になっている上に、谷底は湿地。それで開発を免れたようです。

         

         

        今朝、佐辺昆布店に片栗粉を仕入れに行ったら良和君がいました。企画展へ行ったことを話すと、「あの鬼女の面は確かに僕がつけたものです」と言ってました。

         

        こちらは、鬼女に変身する直前の良和君。舞台の上で、花笠に隠れて鬼女の化粧をします。

         

         

        組踊の衣装は保存用に必ず一着、余計に作るそうです。だから、企画展で展示されていた衣装は、誰も袖を通していないとのこと。

         

        う〜ん。それは教えてくれなくても良かったかな(笑)


        仲田幸子劇団「でいご座」が明日で活動終了

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          17年前の仲田幸子さんと観光客の私です。場所は松山の仲田幸子芸能館。幸子さんは最後部の席に座って、館内の様子を見てました。

           

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          仲田幸子さん率いる劇団「でいご座」は、母の日と敬老の日に定期公演を開催していましたが、明日の公演で劇団としての活動を終了するそうです。

           

           

          幸子さんは86歳で、米寿を迎えます。体力的な衰えはあるはずで、稽古も舞台もギリギリのところでこなしているはず。ところが、そこを踏ん張るのが仲田幸子。明日、沖縄市民会館大ホールは立ち見が出るでしょう。

           

           

          体力の衰えは気力でカバーできるにせよ、どうしようも無いのが、観客のウチナーグチ離れ。幸子さん渾身のアドリブが通じ難くなってきたことが、彼女に劇団の活動終了を決意させたようです。

           

          沖縄芝居は、場面場面で観客を笑わせ、泣かせ、場内の空気を温めつつ、感動のクライマックスへ持っていくストーリーになっています。その場面場面に不可欠なのがウチナーグチ、あるいはそのフィーリング。そこを封じられてしまっては芝居になりません。

           

           

          松山の仲田幸子芸能館は、幾多の存続危機を乗り越えてきましたが、建物の老朽化により、とうとう閉館が決まってしまいました。来年5月だそうです。

           

          母の日と敬老の日に公演を続け、沖縄のお母さんやオジぃオバぁをずっと祝ってきた幸子さんは、やっと祝ってもらえる立場になれますね。「おめでとうございます」と声をかけたいところですが、彼女は大いにご不満でしょうねぇ。


          天皇陛下御在位30年記念「組踊と琉球舞踊」

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            先週の土曜日。(東京)国立劇場で天皇陛下御在位30年と組踊上演300周年を記念した公演がありました。

             

             

            今朝、良和君が配達に来たので、声をかけました。

             

            C「あら、もう仕事か?。国立劇場はお疲れ様」

             

            良「はい。なんとか終わりました」

             

             

            続いて、農連プラザ佐辺昆布店のお母さん。

             

            C「お〜い。天皇陛下が随分喜ばれたみたいじゃない」

             

            母「そうなのよぉ。無事に終わって良かったわぁ」

             

            C「両陛下は途中で来られて、二童敵討だけをご覧になったみたいね」

             

            母「あらそうなの?」

             

            C「『佐辺君が出るほうだけを見ましょうね』ってなったんじゃないか?(笑)」

             

            母「そんなわけないじゃない(笑)」

             

            C「良和君にはお母さん役をやってもらいたかったなぁ。だけど、良和君のお師匠さんクラスばかりだから、『代われ』とは言えんよな(笑)」

             

            母「そんなこと、言えるわけないじゃない(笑)。Cさんは新聞で見たの?」

             

            C「いや、テレビのニュース」

             

            母「えっ?。ニュースでやってたの?。あなたはいつも自分ばかり観てから・・」

             

            C「心配すんな。今見せる」

             

            母「あっ、本当だ」


             

            C「良和君は30秒くらいに出てくるで」

             

            母「えっ?。良和も写ってるの?。あっ、本当だ」

             

            C「この後、両陛下が出演者に声をかけられたみたいよ」

             

            母「えっ、そうなの?。どんなお話だったか良和に聞いてみないとね」

             

            C「そりゃあ『どうですか。昆布は売れてますか?』だろ(笑)」

             

            母「アッハッハ!!。何言ってんの。あっ、あなた。あらぁ、今日は何も無いわね。じゃあ、これでも食べなさい」

             

             

             

            我が子が琉舞を習い始めた頃、まさか天皇の前で踊ることになろうとは、予想だにしなかったでしょう。

             

            ニュースの映像よりも、この時のお母さんやお姉さんの表情を、動画に撮って投稿したかった(^^)

             

            それはもう、絵に描いたような親孝行。いや、良かった良かった。


            歌って踊って、うすまさ沖縄

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              一昨日の劇団伊良波母の日公演。

              朝公演が終わり、昼公演までの超短い休憩時間を使った記念撮影。金城真次さんは昼公演の化粧に忙しく、写真の右上に(笑)

               

               

              前列右端に、喜歌劇「貞女小」で主役の里之子を演じた当銘由亮さん。時代舞踊劇「仲里節由来記」では親雲上役で登場し、彼の歌三線でヤンバルのハールー小(知花小百合)が舞いました。

               

              左隣に良和君、一人おいて知花さん。

               

               

              その当銘由亮さん。今週は神戸、大阪、京都で3Day'sライブだそうです。(うすまさ:凄く、とっても)

               

               

              歌と踊り、芸能の島沖縄。

              国指定重要無形文化財に指定される組踊、歌三線、琉球舞踊を現代エンターテイメントに昇華させる当銘由亮のワンマンライブ。

              多様な琉球芸能のエッセンスを組み込みながら、ウチナーのチムグクル(情感)を伝える。

              伝統的な『ソームン』(本物)の力を現代の聴衆に届け、「楽しむもの」として打ち出す舞台。

               

              当銘由亮さんは、組踊、歌三線、琉球舞踊、ウチナーグチの各分野で活躍する一線級のプロフェッショナルで、すなわちソームン。そして、芸の道を極めつつも「お客様を喜ばせてナンボ」の意識が徹底している方です。そして「仮に何か一つの道を極めるとすれば」と問われれば「私はジュリーになりたい」(笑)



              Googleによりますと、このブログの県別読者数第1位は沖縄で、第2位が大阪だそうです。そこで、大阪ならびに関西の読者の皆様。当銘由亮さんのライブには「是非とも行くべし」です。

               

              特に「琉球芸能に興味はあるけど入口が」なあなた。このチャンスを逃すようでは、一生、入口に立てないかもしれません(笑)

               

               

              関西の皆様。当銘由亮さんと一緒に、うた(唄)たいもう(舞)たいし、あしび(遊)でぃきらち、はな(華)やかさびら

               

              何卒、よろしくお願い申し上げますm(_ _)m

               

               

              あら、終わってしまったか(笑)

               

              当銘さんの動画を掲載しようとしたところ、youtubeに適当な長さの動画がありませんでした。そこで突然ですが、指笛の練習を。

               

              鳩間節からの、

               

               

              ウチナーグチからの、

               

               

              実技指導付き

               


              (^-^)v


              劇団伊良波 母の日公演(2018)

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                こちらは佐辺昆布店(兼、組踊・沖縄芝居プレイガイド)の店先です。

                 

                 

                良和君が出演する公演は、もれなくポスターが貼り出され、チケットも手配済み。そんなこともあって、劇団伊良波母の日公演を観るのは今年で4回目です。会場は与那原町の社会福祉センターでした。

                 

                 

                (1)加那ヨー天川

                 

                佐辺良和、金城真次の親友コンビによる雑踊り。会場のお母さん達(て言うかオバぁ達)をジワーッと温め、「さあ、今日は楽しもう」という気にさせてくれます。

                 

                 

                 

                (2)喜歌劇「貞女小」

                 

                出稼ぎから帰ってきた里之子(当銘由亮)が自宅近くで女性をナンパしようとするが失敗。自宅に帰ってトゥジと久しぶりに再会したら、あれまぁ、さっきの女性でしたって話。

                 

                下男の三良(嘉数道彦)との楽しい掛け合いが会場を沸かせました。

                 

                 

                当銘さんは今週、大阪で3day'sライブだそうで、忙しい方です。夜9時頃に「これから三線の稽古」などと、よくツイートされてます。

                 

                 

                (3)時代人情歌劇「中城情話」

                 

                里之子(佐辺良和)を好きになったウサ小(知念亜希)には許嫁の阿兄小(金城真次)がいました。

                 

                なんとかウサ小を引き止めようとする阿兄小でしたが、里之子が歌う「トゥバラーマ」が聞こえてくると、ウサ小は思わず家を飛び出してしまいます。追いすがりつつ泣き崩れる阿兄小。

                 

                金城真次、迫真の演技でした。そこで一旦幕になりまして、幕がおりて大きな拍手がありましたが(演技→幕→拍手)、その拍手は幕がおりる前に欲しかった(演技→拍手→幕)。

                 

                 

                次の写真はラストの場面。舟に乗り旅立つ里之子とウサ小。なおも追いすがる阿兄小。とうとう諦めてしまう阿兄小に、会場前列のオバぁが「あきらめるなっ!!。連れ戻せっ!!」(笑)

                 

                 

                金城真次の芝居を観るのは2年ぶりでしたが、なんだか演技のステージが上がってますねぇ。彼の演技が強く印象に残る演目でした。

                 

                 

                (4)時代舞踊劇「仲里節由来記」

                 

                神山のアヤー(伊良波冴子)は夫の死後、夫がヤンバルで産ませたハールー小(知花小百合)を探しだし、首里に呼び寄せました。

                 

                その日は神山の二人の娘の舞踊を楽しむ会が催され、若按司や親雲上達が集まっていました。そこへ、言葉も仕草も田舎娘丸出しのハールー小が現れます。

                 

                ハールー小は皆の笑いものになってしまいますが、試しに踊らせてみれば、その踊りは明らかに二人の姉を超えるものでした。

                 

                 

                驚く舞台の上の人達。そして、もっと驚く会場のオバぁ達。ついさっきまで、ハールー小のヤンバル訛りをゲラゲラ笑ってたのに、「ハッサ、ハッサミヨーナ」(笑)

                 

                踊りに感心した若按司が、ハールー小に「欲しいものがあれば言いなさい」と。

                 

                ハールー小の答えは、

                 

                聞けば仲里や 花の本てもの

                咲き出らば一枝 持たちたぼうれ

                 

                この歌詞が後に仲里節の一節となりました(仲里節由来記)。

                 

                これが分からんわけよね。仲里はハールーの故郷。そこに花が咲いたら一枝持ってきてってこと?。故郷を懐かしむのか?

                 

                言うておきますが、全編ウチナーグチの芝居を観て、私が理解できる言葉は1、2割。その口調や演技などで、なんとかあらすじを理解できてるレベル。最後にそんな難しいことを言われても。ねぇ(笑)

                 


                現代版組踊「肝高の阿麻和利」が心に響く理由

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                  うるま市の小学生から高校生までが演じる現代版組踊「肝高の阿麻和利」。2009年にユネスコ未来遺産運動に登録されました。


                   

                  私はこれを観るために何度か勝連に足を運び、そのたびに必ず泣かされてます。子供に泣かされてしまうオヤジも「なんだかなぁ」と思いますが、次に観てもきっとまた泣くでしょう(笑)。

                   

                   

                  ネーミングは現代版組踊ですが、これはつまりミュージカル。その完成度は高く、2,800円の料金(S席)を私は高いと思ったことがありません。

                   

                   

                   沖縄本島中部の与勝半島にある勝連は、簡単に言ってしまうと田舎です。(決して都会とは言えない)具志川あたりの人達は半島の人達をヨカチャー(与勝人)と呼び、差別とは言わないまでも軽く見る意識がある(あった)ようです。

                   

                  「ヨカチャーはアップルパイを知らないのでリンゴ天ぷらと呼び、コーラを知らないので黒水炭酸と呼ぶ」などと悪口を言われてることは有名な話です。事実ではないものの、そんな悪口が広まるあたりが軽く見られてる証拠。勝連にあるのはグスクくらいのもので、またそこの按司(阿麻和利)は首里王府に逆らった悪玉とされてきました。

                   

                   

                  ところが近年、琉球史の研究が進み、阿麻和利は与勝半島に繁栄をもたらした英雄だったとする説が有力になっています。阿麻和利を警戒した琉球王府は首里を守るために、護佐丸を中城グスクに配置し、王女である百十踏揚を阿麻和利に嫁がせています。阿麻和利が一代でそれほどまでに力をつけるには、優れた政治を行ない、人民から尊敬されていたはずだと考えられるようになり、沖縄の万葉集にあたる「おもろそうし」にはそのことを裏付ける歌がありました。また、勝連グスクには戦(いくさ)の痕跡がまったく無いことから、阿麻和利には琉球王府と戦う意思が無かったのではないかとも考えられるようになりました。

                   

                   

                  そんな中、平成11年に始まった現代版組踊「肝高の阿麻和利」は大反響を呼びました。その2年後には勝連にきむたかホールが完成し、活動の拠点となりました。以来、国内外で約300回の公演を行なっています。

                   

                  ヨカチャーと呼ばれた与勝の子供達は郷土に自信が持てるようになりました。また「肝高の阿麻和利」に取り組むことで、郷土の歴史を学び、郷土に誇りを感じるようになりました。遊びたい盛りの子供達が毎週3回の練習を毎年、高校を卒業するまで続けられる理由がそこにあると私は思います。そして勝連グスクの世界遺産登録。

                   

                  「肝高の阿麻和利」をこれから観る方は、ステージの端っこのほうで文字通り端役を演じてる男の子、女の子の表情や手の動き、足運びにも注目して下さい。それはもう、ほんまに一生懸命。そのままステージ中央に連れて来ても決しておかしくないことに気付くでしょう。

                   

                   

                  彼らの胸には郷土への誇りががあるからこそ、観客の心に響く演技ができるのだと私は思います。肝高は、心豊か、気高い、品位のあるなどの意味を持つ言葉で、同時に勝連グスクをほめる美称でもあります。その美称を与勝の子供達に与え「肝高の子供達」と呼びたい。そう思い、オヤジはまた涙すると(笑)

                   

                   

                  次回公演は来月。冒頭のポスターの通り土日2日間、昼夜2回計4回の公演です。先ほど調べると日曜日の夜公演はチケット完売で、昼公演が残席わずかでした。土曜日は昼夜とも今なら間に合います。今回は会場がうるま市民芸術劇場になってますから、お間違え無きよう。


                  ジュリ馬、舞・・わず

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                    辻の二十日正月行事「ジュリ馬祭り」に来ました。



                    例年、旧暦一月二十日(今年は2.16)に開催されていますが、今年はその日に神事だけを行い、ジュリ馬の演舞は今日になったのです。日曜日の開催を意図したものだと思いますが、来年以降も是非そうしていただきたい。

                    早めに到着すると8名の踊り子が辻の御嶽とお墓にお参りしてるところで、初めてナマの「ゆいゆい」を聴きました。


                    「せんする節」
                    京の小太郎が作たんばい
                    尻ほげ破れ手籠緒すげて
                    板片目貫ち乗い来たる


                    京太郎が作ったのは
                    尻に穴が空いた
                    破れ手籠に緒をつけたもの
                    板切れに穴を通したもの(馬)に乗って来た

                    組踊「高平良万歳」で、兄弟が親の仇をうつために、当時の人気芸人、京都の小太郎に成りすまし、敵に近づいてゆく場面に使われる唄です。


                    演舞台ではリハーサルが行われ、私の気持ちも高まりましたが雨が止みません。



                    結局、主催者が「踊り子の化粧が落ちるさぁね」と判断し、観客は料亭那覇に誘導されることになりました。



                    料亭那覇の大広間で、ゆいゆいをやってくれるのですが、私はやめておきました。どうしてかと言いますと、私は「難しい男」だからです(笑)


                    こちらは二、三年前の琉球新報。



                    百人を超えるジュリ達が舞い、この投稿のタイトルは「ジュリ馬、舞う!!」になるはずでした。

                    貧しさに負けて娘を辻に売ってしまった私は、物陰から元気な娘の姿を見て、涙するはずだったのですよ。そのオヤジが料亭の座敷でアグラをかくってのはいかがなものかと(笑)。

                    来年に楽しみを残したってことですね、つまり。


                    ジュリ馬の日程が変更されたようです

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                      旧暦1月20日の今日は二十日正月。お正月の祝い納めの日で、例年、辻のお祭り「ジュリ馬」が開催されます。

                      20120213183714_0.jpg

                      毎年「行かないと」と思いつつも早や7年。今日はなんとしてでも行くつもりでした。

                      ついさっき、念のため日程を調べると、高野純一さんの「おきなわスローツアー」によれば、今年のジュリ馬は3月19日(日)に開催だそうです。神事は2月26日(日)。

                      どちらも日曜日じゃないですか。

                      二十日正月が平日になることが多いので、日曜開催になったのかもしれません。

                      なんにせよ、ラッキーです。それなら、最初から最後までじっくり観ることができますね。


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                      念願の沖縄生活を始めて14年になりました。
                      沖縄の生活、文化、風土、音楽、政治などの話題を投稿しています。 (y_mizoguchi@yahoo.ne.jp)
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