<< 気になる建物 | main | 〜だと思いますけど・・・ >>

詩人 山之口貘「生活の柄」

0
    JUGEMテーマ:地域/ローカル

    栄町市場の居酒屋「生活の柄(がら)」は、ガイドブックにも掲載されてる人気店です。



    懐かしい響きのする店名は、フォーク歌手高田渡の代表曲のタイトルとして、ある年代の方々にはよく知られています。

    「生活の柄」は沖縄出身の詩人山之口貘(ばく)(1903-1963)の詩に、高田渡が曲をつけたもの。高田渡は貘の大ファンだったようで、貘の詩を用いた曲を何曲も作っています。


    貘は東京で失業と差別に耐えながら放浪生活を送った末、30代で結婚し、女の子に恵まれました。しかし、結婚後、本格的に詩の創作に取り組み始めたため、家族は極貧生活を強いられたようです。


    与儀公園に、貘の詩碑が建っています。

    20120119075233_0.jpg

    詩碑には貘の作品「座布団」が記されています。それはこんな詩です。

    土の上には床がある
    床の上には畳がある
    畳の上にあるのが座蒲団でその上にあるのが楽といふ
    楽の上にはなんにもないのであらうか
    どうぞおしきなさいとすゝめられて
    楽に坐ったさびしさよ
    土の世界をはるかにみおろしてゐるやうに
    住み馴れぬ世界がさびしいよ

    招かれた家で座布団を勧められ、座り心地の良い座布団の上の自分と、土の上で生活している自分とのギャップを表現している詩ですね。


    久しぶりに沖縄へ帰省した時の作品「弾を浴びた島」を読むと、貘の作風や、その時代背景がわかってきます。

    島の土を踏んだとたんに
    ガンジューイとあいさつしたところ
    はいおかげさまで元気ですとか言って
    島の人は日本語できたのだ
    郷愁はいささか戸惑いしてしまって
    ウチナーグチマディン ムル
    イクサニ サッタルバスイと言うと
    島の人は苦笑したのだが
    沖縄語は上手ですねと来たのだ

    わかりやすいです。ウチナーンチュは笑うトコロです。

    実は、貘の他には、沖縄から、著名な詩人が輩出されていません。その原因が、この詩に表されていると思うと、笑えなくなります。言葉を奪われたのですからね。


    二つの詩を読んだ後、「生活の柄」に移ると、その意味が、より理解できます。

    歩き疲れては
    夜空と陸との隙間にもぐり込んで寝たのである
    草に埋もれて寝たのである
    ところ構わず寝たのである
    寝たのであるが
    ねむれたのでもあったのか!
    このごろはねむれない
    陸を敷いてはねむれない
    夜空の下ではねむれない
    揺り起されてはねむれない
    この生活の柄が夏むきなのか!
    寝たかとおもうと冷気にからかわれて
    秋は 浮浪人のままではねむれない


    夢を食べるバクさんは、貧乏であってもジメジメしたところがなく、多くの人びとから愛されたそうです。

    精神が豊かだったと言えるのでしょうが、奥様や子供はたいへんでした。

    子供の入学式で、奥様と子供の服があまりにもみすぼらしかったと、奥様が不満を言ったそうです。すると貘は「うん、でも裸でなかったから良かったね。」と答えたそうです。

    コメント
    コメントする









    この記事のトラックバックURL
    トラックバック
    calendar
        123
    45678910
    11121314151617
    18192021222324
    25262728293031
    << August 2019 >>
    プロフィール
    profilephoto


    念願の沖縄生活を始めて9年になりました。
    沖縄の生活、文化、風土、音楽、政治などの話題を投稿しています。 (y_mizoguchi@i.softbank.jp)
    Twitter
    お勧めの本と映画
    selected entries
    categories
    archives
    recent comment
    recent trackback
    profile
    search this site.
    others
    mobile
    qrcode
    powered
    無料ブログ作成サービス JUGEM