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野元尚巳著「黒潮海道を行く」

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    JUGEMテーマ:地域/ローカル

    シーカヤックによる、沖縄から鹿児島までの航海記です。

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    運が良ければ、沖縄から本土への航空便から、奄美の島々を順に眺めることができます。その度に思い出すのがこの本です。圧倒的な海の広さと、その水量に、空の上からでも恐怖を感じますが、そこをまあ、人力、一人乗りのカヤックで航海するなんて驚きますよね。

    天気図を読み、地元の漁師の意見を聞き、出発のタイミングをはかります。つまり、島の数と同じ数の決心を繰り返し、カヤックを漕ぎ始めるのですが、その緊迫感が半端ではありません。

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    ここは、東シナ海から太平洋に黒潮が抜ける海域です。つまり、島から島へ渡る海は、海ではなくて急流の川です。

    選択肢は常に二つだけ、進むのか引き返すのか。


    最も緊張した場所が、奄美大島と宝島の間でした。黒潮の流れが速くなり、カヤックの推進力と拮抗してしまったのです。つまり、全力で漕いでもカヤックが停止した状態。体力が奪われ、カヤックはジリジリと東へ流され始めます。

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    漕ぐのを諦めてしまうと、伊豆七島の列島線まで陸地はありません。少し前に、糸満の漁師の船が喜屋武岬沖で故障し、太平洋を46日間漂流する事件がありましたが、あの時は千葉県沖で偶然、他の船に発見されたのでした。そこを通り抜けると次はアメリカですからね。


    流され続けるカヤックの上で、野元さんは携帯電話を取り出します。海上保安庁へ連絡するのか、しないのか。携帯電話のアンテナマークが消える前に決心が必要です。

    結局、野元さんは最後の力を振り絞り、宝島に到達しました。火事場の馬鹿力ってあるんですね。人間の身体にダメージを与えないように、筋肉にはリミッターがついていますが、生命の危機を感じると、そのリミッターが外れるそうです。

    宝島に到着した野元さんは、ヘナヘナと座り込み、オイオイ泣き始めたそうです。

    「島」のありがたさを実感できる一冊です。那覇の本屋で購入し、本土行きの機上で読むことをお勧めします。


    (追記)
    野元さんのカヤックには、GPSが搭載されていて、何人ものスタッフが、それを監視していました。また、野元さんはカヤックのプロですから、決して無茶な冒険をされたってことではありません。


    コメント
    王子も今だいたいこのルートをフェリーとスクーターで
    研究のため北上中です。

    トカラ列島の悪石島は皆既日食で、たくさん行ったけど、豪雨でみれなかった島です。
    • 大阪のおばちゃん
    • 2012/07/10 6:18 PM
    そうだ、王子の話を聞いて、この本を思い出したのでした。
    • coralway
    • 2012/07/10 6:23 PM
    王子も本を出版して、印税稼いでくれんかね。
    いま、ハイリスクノーリターン状態です。
    • 大阪のおばちゃん
    • 2012/07/10 6:28 PM
    先行投資、先行投資。

    まず投資して、回収!!
    • coralway
    • 2012/07/10 6:33 PM
    coralway氏のおかあさまは回収なさったのでしょうか?
    • 大阪のおばちゃん
    • 2012/07/10 6:37 PM
    いや、回収してない。

    子供の子供が使うから。
    • coralway
    • 2012/07/10 6:39 PM
    じゃ、きっとわたしもそうだわ。
    • 大阪のおばちゃん
    • 2012/07/11 9:25 AM
    孫に使うのなら許せると言うか、おばあちゃんはまだまだ元気で、孫にも更に投資したりして。
    • coralway
    • 2012/07/11 9:34 AM
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