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詩人 山之口貘「頭をかかえる宇宙人」

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    旧ソビエトの宇宙飛行士ガガーリンが、世界で初めて宇宙に出たのは1961年4月のことでした。

    そのニュースを聞いて、沖縄が生んだ偉大な詩人はこんなことを考えていたのですね。


    「頭をかかえる宇宙人」

    青みがかったまるい地球を
    眼下にとおく見おろしながら
    火星か月にでも住んで
    宇宙を生きることになったとしてもだ

    いつまで経っても文なしの
    胃袋付の宇宙人なのでは
    いまに木戸からまた首がのぞいて
    米屋なんです と来る筈なのだ

    すると女房がまたあらわれて
    お米なんだがどうします と来る筈なのだ
    するとぼくはまたぼくなので
    どうしますもなにも
    配給じゃないか と出る筈なのだ

    すると女房がまた角を出し
    配給じゃないかもなにもあるものか
    いつまで経っても意気地なしの
    文なしじゃないか と来る筈なのだ

    そこでぼくがついまた
    かっとなって女房をにらんだとしてもだ
    地球の上での繰り返しなので
    月の上にいたって
    頭をかかえるしかない筈なのだ



    この偉大な詩人は、人類初の宇宙飛行に驚くこともなく、宇宙人になっても貧乏に変わりはなかろうと、明るく感想を述べたってことですね。


    沖縄県立図書館の貴重資料デジタル書庫で、山之口貘の直筆原稿を見ることができます。

    この詩の完成までに要した原稿用紙が191枚。そうだろうなぁと思います。

    20120712174918_0.jpg

    思いついたことをサラサラと書いたように見える文章ほど、表現に細心の注意をはらい、何度も手直しをして、完成にこぎ着けているってことですね。


    日常生活で、自分の気持ちにドンピシャの表現など、そう簡単には思いつかないので、仕方なく、それに近いことをいくつか並べておいて、後は相手の理解力に期待することになります。親しい相手ならば、自分の期待以上の理解力を発揮してくれて、たいへん助かります。

    相手が奥様ともなれば、最も理解していただきたいところなのに、問い詰めるでしょ。お金が無いってわかっているくせに「さあ、どうするの。」って言われても、言われたほうは頭をかかえるしかありませんよねぇ。


    写真は与儀公園にある、貘さんの記念碑で、その次は、このブログの過去記事です。

    20120119075233_0.jpg

    詩人 山之口貘「生活の柄」

    茨木のり子著「貘さんがゆく」


    コメント
    沖縄でこんなデジタル・アーカイブあるんですね。

    そういえば、昔ってマイクロフィルムに良くしてましたよね。

    あれって当然、誰かがデジタル化しなければならない訳であって・・・膨大にありますよね〜・・・傷補修もあるだろうし・・・

    デジタルってホント便利。
    • マロン
    • 2012/07/12 6:51 PM
    南風原にある沖縄公文書館でもデジタル化は進めてますね。

    だけど、肝心の原本が少ないんですよね。戦争で焼けちゃって。
    • coralway
    • 2012/07/12 6:56 PM
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