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白梅学徒隊の4ヶ月(4) 八重瀬岳第一野戦病院壕

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    1945年3月24日。米軍読谷上陸の8日前、艦砲射撃の中を白梅学徒隊は八重瀬岳第一野戦病院壕に着任しました。

    研修期間はまだ残っていましたが、戦況が悪化し、建物内は危険になったのです。


    八重瀬岳は本島南部にある160mほどの山(と言うか丘陵地)で、現在は公園が整備され、桜の名所になっています。かつてその麓に、第一野戦病院壕(上の壕、下の壕)がありました。

    八重瀬岳公園駐車場のすぐそばに、壕へ続く小径があります。



    その先にあるのが上の壕。



    この狭い壕には手術室がありました。



    軍医が不眠不休で手術を続けても追いつかず、手術を待つ兵士達が、壕に続く小径に並べられていたそうです。


    そして、病棟にあたるのが下の壕。既に崩落しており、壕内には入れませんが、生存者からの聞き取りで、壕の構造が明らかになっています。



    坑道が縦横に掘られ、見取り図にびっしりと記載された小さなマス目は二段ベッドを示しています。

    46名の白梅学徒隊は4班に分けられて、各坑道の患者を担当しました。

    水汲み、飯上げ、食器洗い、投薬、包帯の取り替えなどが彼女達の主な仕事で、当初は各班とも、昼勤5名、夜勤5名が配置されました。


    米軍が南下するにつれて負傷兵が増え、下の壕はたちまち満員となりました。坑道が延長され、近隣集落の壕に分院が開設されました。

    患者数が予想を大幅に上回る一方で、学徒の人数は変わりません。班の数が増えたので、一つの班の人数は5名から2名に減りました。そして、12時間の勤務時間が24時間となったのです。(24時間働き、12時間の休憩)


    毎日行われていた軍医の診察は、患者一人につき2日に1度となり、やがて5日に1度となりました。深刻な薬品不足となり、包帯は洗濯して再利用することになりました。

    沖縄は梅雨入りし、坑道に水が溜まり、患者の傷口には蛆がわきました。


    白梅学徒達の顔は油とホコリで黒く汚れ、声を出さないと誰だか分からなくなりました。

    学徒達は壕から500mほど離れた富盛集落の井戸で水を汲んでいました。水汲みのついでに、髪の毛や身体を洗いたいはずです。ところが学徒達の疲労はとっくに限界を超えていて、早く仕事を終えて休むことしか思い付きません。髪の毛にはシラミがわき、一枚しかないモンペは汚れでドロドロでした。

    悪性の下痢に悩まされ、生理が止まりました。


    こうした状況下にあっても、学徒達は日本の勝利を信じて疑わなかったようです。

    あと3日で天長節(天皇誕生日)だから、その日に日本軍は総攻撃をかけるはず。来週は海軍記念日だから、連合艦隊が沖縄に来るはず。

    絶えず、数日先に事態は好転すると信じ、その日までは何とか頑張ろうとしました。


    先ほど、モンペが一枚しかないと言いましたが、実は、学徒達は新品のモンペを一枚持っていました。そして、制服のブラウスと新品の地下足袋も。

    それらは、戦勝祝賀会に必要と考えていたのです。

    ドロドロのモンペをバタバタとはたいてシラミを落としました。モンペを洗った子は、それを濡れたままで履きました。

    そして、新品のモンペには決して手をつけなかったのです。


    ある日、北の空から100機ほどの神風特攻隊が現れ、次々に米艦隊に突入しました。ほとんどは艦砲射撃で撃ち落とされて海に墜落し、命中したのはわずかに1機か2機。炎と煙が上がりましたが、船が沈むことはありませんでした。

    それの様子を見ていても、それでも日本軍は勝つと。

    学徒達はそう信じていたからこそ、疲労と睡眠不足で意識を失いかけながらも、なんとか踏ん張っていたとも言えます。

    (続く)


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