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「沖縄の不思議とその魅力」講演原稿(4/4)

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    JUGEMテーマ:地域/ローカル


    国場から真玉橋を渡った先に嘉数の丘があります。その丘に登る坂道が大変なことになっているんです。車で登れる坂道ですが、結構な傾斜がありまして私は車が裏返るかと思いました。

    S27嘉数の丘

    本土に住むブログの読者が「それはちょっとオーバーだろ」と、ご丁寧にそれを確かめに来たんです。何人も。レンタカーで。皆さん「疑って申し訳なかった。確かに車が裏返ると思った」と。沖縄本島でこれ以上急な車道は無いと思いますね。

    この坂道には名前があります。「アンマーウンケーの坂」。かつては九十九折の坂道でした。

    現在の嘉数は住宅地ですが、かつては一面野菜畑でした。その丘から見下ろすと眼下を国場川が流れ、石造5連の真玉橋が見えました。

    那覇や首里の市場に朝から野菜を売りに出ていたアンマー達が、夕方、真玉橋を天秤棒を担いで帰ってきます。アンマーウンケーの坂上には子供達が集まりました。お家で待っているより、早くアンマーに会えますからね。


    当時の野菜売りのアンマーの写真を見ましょう。写真家の木村伊兵衛さんは戦前の那覇を訪れ、多くの写真を撮っています。こちらは代表作の「那覇の芸者」。

    S28那覇の芸者

    料亭松乃下の上原栄子さんですね。お美しいです。映画「ティーハウスオブジオーガストムーン」では、京マチ子さんが上原さんを演じました。

    そしてこちらが、当時は東町にあった那覇市場のスナップです。

    S29野菜売りのアンマー

    野菜売りのアンマー。

    カラジがちょと倒れ気味なのは、ついさっきまでクバ笠を被っていたからでしょう。籠に入ってる野菜は見えませんが、右手で天秤棒を支えていて、肩にかかる負荷が伝わってきます。そして、帯紐をしっかりと前で結んでいますね。働く女性は素敵です。

    重い野菜を売り切れば、帰りは楽かと言えばそうではありません。野菜を売ったお金で、米や塩などの品物を買うことになりますからね。物々交換のようなものです。


    話は再び真玉橋に戻ります。

    S30真玉橋

    写真の奥になだらかな斜面が見えます。国場の瓦屋原です。斜面の上が瓦屋頂。ここでピンとこられた方は琉球古典がお好きな方です。

    中国から来た渡嘉敷三良はこの斜面の土が瓦に向くと考え、ここで瓦を焼きました。そして琉球王府は三良の瓦を焼く技術を高く評価し、琉球への帰化を求めたのです。

    三良には好きな女性がいました。毎日の朝夕、真玉橋を渡る女性です。そして彼女を妻にできるのなら帰化しても良いと言い出したんです。ところが彼女はすでにアンマー。それを知った王府の役人が、彼女に「そこをなんとか頼む」と。王府の命令ですから、彼女はそれに従わざるを得ませんでした。

    三良は琉球に帰化し、瓦造りに専念しました。その技術は三良の子孫に伝えられ、首里城正殿の屋根をはじめとする、琉球赤瓦が作られたのでした。


    琉球古典の「瓦屋節」です。

    S31琉球古典「瓦屋節」

    瓦屋頂に登って南を見るのだが、シマは見えても、夫の姿までは見えない。

    おそらく、この女性のシマは嘉数です。国場の瓦屋頂から見て、シマは見えても夫の姿までは見えないという距離感は嘉数しか考えられません。

    アンマーウンケーの坂を登って家族の下へ帰るはずの野菜売りのアンマーは国場の瓦屋と一緒に住むことになりました。彼女には辛い思いをさせましたが、後に琉球赤瓦がどれだけ人々の役に立ったかを考えて、なんとか勘弁してもらえないものかと思います。まあ、そうもいかないでしょうけど。


    S0表紙

    さて、真珠道に沿って、上間と国場を歩きましたが、そろそろ時間です。

    私は沖縄に着いたその日から7年間、毎日ブログを更新していて、今日お話ししたようなことを書いています。投稿数は3千件を超えました。ブログを開設した当初は本土の沖縄ファンが読んでくれるかと思っていましたが、今や読者のほとんどがウチナーンチュです。

    「ウチナーンチュがナイチャーのブログを読んでどうする」と思いますが、沖縄の皆さんが私のブログを読んで、長年の疑問が解消したり、沖縄の魅力を再発見していただけるなら、こんなに嬉しいことはありません。今後も、4千件、5千件と投稿を続けるつもりです。

    最後までご静聴ありがとうございました。皆様もいちまでぃん、ちゃーがんじゅうしみそーり。終わります。


    コメント
    お疲れ様でした。
    ついに完成ですね。
    来週を楽しみにしています。
    • オムライス
    • 2016/08/02 3:13 PM
    よろしくお願い致しますm(_ _)m
    • coralway
    • 2016/08/03 6:45 AM
    見た感じ14%位の坂でしょうかね。
    いつかスクーターで登ってみます。
    「血と水の一滴」を読んでみます。
    私は例えノンフィクションノベルであっても、それは小説であり、歴史学では採用されないものとして読まない事にしています。
    それは曽野綾子の「生贄の島」や「ある神話の背景」に見られるとおり、作家の願望が入り込んでしまい、事実と異なるものが多々見られるからです。
    最初から小説として読むなら、事実と異なっていてもスルー出来ますから気楽ですねw
    • 阪神
    • 2016/08/03 8:59 AM
    フィクションとノンフィクションの違いは作家にとって悩ましいところのようですね。

    フィクションなのにノンフィクションと呼ばせるのは最低です。ところがそんな本が売れるもんだから、困ったものです。
    • coralway
    • 2016/08/03 9:24 AM
    お久しぶりです・・・。
    ようやくこの頃は政治系から離れたようですね。

     この坂、以前自転車(マウンテンバイク)で上ったことがありますが、死ぬかと思いましたよ。
    かなり前輪が浮きますので・・・。
    前走ってたバイクが止まっているくらいでしたから(笑)。
    頂上に着いた時の安心感たるや・・・
    • 熱血!チャリ馬鹿君
    • 2016/08/03 2:44 PM
    「ようやく」:時間や手数がかかった後に、待っていたことが実現するさま。

    誰に時間や手数をかけた?

    • coralway
    • 2016/08/03 4:08 PM
    「誰に時間や手数をかけた?」

    誰がそんなこと言いましたか?

    「ようやく」には、
    「苦労した結果、目標が達成できるさま」という意味もあります。

     つまり、沖縄を愛するcoralwayさんの様々な思いが、ついに今回の講演会という形で結実したのだなぁ、と感じたので、そう書いたまでです。

    他意はありませんで、悪しからず。

     
    • 熱血!チャリ馬鹿君
    • 2016/08/03 5:00 PM
    そんなら、そう書け
    • coralway
    • 2016/08/03 5:23 PM
    このブログの集大成ともゆうべき講演会ですね。
    月並みですが、がんばってください。
    • ikoka
    • 2016/08/04 11:48 AM
    目上の大人に対して口の聞き方を知らない若者がいますね。

    沖縄で甘やかされて育ったせいですかね、ナイチに行ったら苦労しますよ。

    ねぇ、Cさん。
    • H
    • 2016/08/04 12:44 PM
    ikokaさん

    さらっとやってきます(^o^)/
    • coralway
    • 2016/08/04 1:09 PM
    Hさん

    まだ大学生ですから、そんなもんでしょ。
    • coralway
    • 2016/08/04 1:11 PM
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