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「沖縄の不思議とその魅力」講演原稿(2/4)

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    JUGEMテーマ:地域/ローカル

     

    沖縄には色々な不思議がありますが、その多くは琉球王朝の時代から戦前までに形成されています。ですから、沖縄の不思議を紐解くには、昔の沖縄を知ることが大切です。

    私は古い道筋をたどったり、集落を散歩したりすることが好きで、本島中南部のほとんどの宿道跡、石畳道、グスク、石橋、井戸、村獅子を訪ねています。それまで不思議に思っていたことが、次々に解明される過程が楽しく、それをせっせとブログに投稿しています。


    S8真珠道マップ

    私が作った真珠道のルートマップです。真珠道は琉球王府の軍用道路。拡大した地図に道筋を赤く塗り、それを9枚貼り付けました。

    首里城から金城町石畳道を下り、金城橋を渡ります。識名平坂を登り、識名台地を横切り、上間から国場へ下って真玉橋に出ます。南へ進んで石火矢橋を渡り、豊見城グシクを抜け、小禄から垣花に出て、屋良座森グシクに至ります。

    あやふやな場所は現地で調べて訂正しています。豊見城グシク周辺が最後まで不明でしたが、兵がグスクで一旦待機する場合はグスクに入り、直行する場合は現在の火葬場横を抜け、グスクを外周したようです。

    金城橋から繁多川に登る識名平坂。あそこのコンクリートを剥がせば、その下は当時の石畳道だそうですが、いやぁ、剥がしてみたいです。


    この地図をブログに投稿したところ、地図が欲しいと言われる方が数人現れました。そのうちの一人が、沖縄戦を取材されていた作家の芹澤健介さんでした。芹澤さんはその取材を終え「血と水の一滴」を上梓されました。

    S9血と水の一滴

    京都出身の青年軍医森本義丈さんの手記をもとに、その足跡を追った作品です。10.10空襲から首里陥落までが物語の前半で、その舞台は上間でした。物語の後半は南部戦線。そして森本軍医は糸満市福地で戦死されています。彼の手記の一部を紹介します。

    S10森本軍医の手記

    五十年後、百年後、この島はまだあるだろうか。美しい海と空を取り戻しているだろうか。願いが叶うならば平和な時代にこの島に来たかった。

    今がまさにその五十年後、百年後。島を自由に歩けることは幸せです。


    S11真珠湊碑文跡

    真珠道の起点は首里城の守礼門脇にありました。この正方形の場所に石室があり真珠湊碑文が収納されていました。すぐ隣にもう一つの石室があり、二つの石室はちょうど石門のように見えたそうです。

    そこが真珠道の起点で、先日、綾門大道の発掘調査により、明らかになりました。

    S12真珠道の起点

    この左に向かう石畳が真珠道です。本物の首里城は地中にあると言いますがまさにその通りです。


    さて、本来は真珠道に沿って今日の話を進めたいところですが、いただいた時間内ではとうてい無理です。そこで、今日は上間から国場までを中心に進めさせていただきます。

    S13クワディーサバンタ

    こちらは上間のクワディーサバンタ。琉球競馬の馬場跡で、クワディーサの大木があったことが名前の由来です。識名台地の南端にあたり、国場川に向かって崖地になっていますから、素晴らしい眺望が得られます。標高72m。

    S14集落の形成

    上間の地図です。南側がクワディーサバンタの崖地。集落は南向きの緩やかな斜面上にあり、北側に小さな丘があります。

    集落内の道筋は南東から北西に抜けています。すべての家屋が南西を向いているので、道筋は当然にそうなるのです。

    沖縄の夏の季節風は南西から吹きます。家屋を南西に向け、風を間口一杯に取り込みたい。一方、冬に北西から吹く季節風は丘で遮り、家屋の裏側の壁で跳ね返したい。

    本島南部の集落の多くは、このような地形が選ばれていて、筋道は南東から北西へ抜けています。


    集落の入口は北、南、西の三ヶ所です。西の入口は真珠道に接しています。真珠道は繁多川から真っ直ぐ降りてきて、上間郵便局前を通り、国場へ抜けています。

    S15フーチゲーシ

    集落の入口はフーチゲーシの場所です。肉の塊をぶら下げて悪霊の侵入を防ぎます。写真は糸満市潮平のものです。

    S16上間の村ガー

    集落の中心に村ガーがあります。井戸を覆うようにクワディーサの大木が枝を広げています。井戸の水量は豊富で、すぐ下にグムイがあります。かつては村の人達が水浴びをしたり、馬を洗った場所です。

    森本軍医の手記によれば、この井戸が昭和15年に改修されたことが、井戸のどこかに記されているようです。結構な時間探して、やっと見つけました。

    S17村ガーの改修

    神武天皇の即位2,600年を記念して井戸の改修が行れたということ。紀元2,600年は昭和15年にあたります。71年前、森本軍医が文字を覗き込んだ場所に私がいます。

    S18井戸の松尾小(カーヌマーツーグヮ)

    井戸の上は井戸の水質維持のため、広場になっています。来週は上間青年団の皆さんがこの広場に集まり、道じゅねーが始まります。お盆どーい。


    私は初めて訪ねる集落でも、その地形や入口を確認すれば、井戸がどこで、獅子はどこ、御嶽やノロ殿内はどのあたり、などと大雑把な見当がつくようになりました。自画自賛で恐縮ですが、これは一つの進歩です。
     

     


    コメント
    「血と水の一滴」を読みました。
    これはフィクションですから史実との違いを指摘したところで、単なるクレーマーになってしまうので、作者が何を言いたかったかを読み取らないといけないのでしょう。
    今の時代を生きる読者が何に対して声を上げ、行動すべきかを考えて欲しいという意図なのでしょうね。
    Cさんのようにはっきりと馬鹿政治家に声をあげられるよう、社会を見つめろということでしょうか。

    史実との違いを指摘したらきりがないのですが、どうしても気になった点を指摘しておきます。

    82頁で対馬丸が学童疎開船である事を日記に書き、1500人以上乗っていたとか、助かった子がいたとか、「雪が見られる」とはしゃいでいた子がいたと書いていますが、8月末の時点で、当時の一軍医がこれらの情報を得る事はまずありえません。それに「戦争をしなければならない理由がほしい」とも書いていますが、当時の25歳の青年軍医でこのような視点を持つ人はいなかったでしょう。これは完全に現代人の視点で書かれています。フィクションだからいいのですが、こういうのわじわじしますよ、歴史学やってるとw

    122頁で少女が「腐れ大和が」と呟いていますが、このフレーズは戦後のものです。戦時中に少女が兵隊に対して暴言を吐いたり、ビンタし返したりするなどまずありえません。それは125頁の少女のセリフも同様です。兵隊への文句は戦後の視点で書かれており、こんなセリフを言う事はありえません。当時の沖縄の女性は、やられっぱなしですよ。

    131頁でアメリカが保有する空母が百隻だとか、鉄鋼の生産量が日本の10倍だとか、石油のそれが80倍と軍医の日記に書いていますが、こんな情報を青年軍医が知っているはずがありません。満鉄調査部員じゃあるまいし。

    183頁の日記にも「日本のジャアナリズムはすでに死んでいる」と書いているのも現代の視点を持ち込んでいます。そんな杞憂を持っていた軍人は、共産主義者、社会主義者、自由主義者が軍人の中にいたので当然いましたが、日記につらつら書き綴るのはおかしいですね。心の中にしまっていたのが実情です。

    210頁で「大和と言うが(略)巡洋艦や空母の護衛なしに単独で沖縄まで辿り着くことは不可能だろう」とのセリフがありますが、当時の沖縄の青年軍医がこのような軍艦の保有情勢を持ちえている事はありえません。これも戦後の視点。当時の軍人は、連合艦隊が大挙して沖縄に押し寄せて助けてくれると期待していました。

    317頁に「そうか彼女はここで、ひめゆり学徒の看護婦として働いているんでしたっけ」と書いていますが、これは絶対に絶対にありえないセリフ。当時は篤志看護婦とか(女)学生さんとか言われていました。

    やっぱクレーマーになっちまったw
    • 阪神
    • 2016/08/07 9:09 PM
    阪神さん、申し訳ない。私の都合で、コメントをこちらに付けましたm(_ _)m
    • coralway
    • 2016/08/08 11:45 AM
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