JUGEMテーマ:地域/ローカル
かつて私は、某ベンチャー企業で企業法務やコンプライアンスを担当しており、数多くの取引先と契約を締結しました。契約条項に漏れや不備があると、後々困ったことになるので、細心の注意をはらったものでした。
例えば、支払い期日を指定する場合、併せて、期日に遅れた場合の処置を相手に約束させることが大切です。「遅延損害金を支払う」とかですね。
ところが、代金の支払いが滞るような相手に遅延損害金を課したところで、ほとんど効果はありません。
「いや、すみません。必ず払います。必ず。はい」
「困りましたねぇ。来週中には何とかして下さいよ」
などと、ほとんど意味の無い会話を繰り返すことになり、一向に債権は回収できません。
そこを、「代金を支払い期日までに現金で支払う。さもなくば、手形で支払う」と定めれば、取引先は何としてでも不渡りは避けようとしますから、早い時期に債権を回収できます。
つまり、相手にとって「耐えがたい苦痛」を伴う約束でなければ、なかなか守ってもらえないということ。だから、約束する際には「さもなくば」を定めることが大切なのです。
長くなりましたが、何でこんな話になったかと言いますとこのニュース。
先週、米軍のF15戦闘機が海に墜落した事故を受け、県副知事が沖縄担当大使と沖縄防衛局長に抗議しました。
副知事「米軍機については昨年1年間だけでも不時着・炎上、部品落下、緊急着陸など約30件もの事故が発生し、抜本的な見直しを求めているにもかかわらず、このような事故を起こしたことに強い憤りを禁じ得ない」
沖縄担当大使「我々としても地域に不安を与えることがあってはならない。我が国における米軍機の運用について安全面に最大限配慮するよう求めている」
副知事は事故の再発防止を求め、沖縄担当大使や沖縄防衛局長は努力すると答えてます。しかし、これでは「さもなくば」どころか、何を約束したのかさえよく分かりません。
沖縄県にせよ、国にせよ、事故の再発防止を県民に約束する立場にありながら、いったい何をしてるのか。
それは両者が「さもなくば」、つまり「耐えがたい苦痛」を意識する状況に無いからでしょう。だからこんな世間話のような会話が成り立つってことです。