JUGEMテーマ:地域/ローカル
私が毎朝配達してるK1保育園は、定員180名の大型保育園です。
2年前のこと。K1保育園はK2保育園(定員100名)を新設すると共に、経営者が異なる近隣のS保育園(定員110名)の給食を受託することになりました。
ベテラン調理師の一部がK1からK2へ異動となり、それぞれの保育園で新たに調理師を採用しました。つまり、K1保育園の厨房にとっては、戦力ダウンになった上に、調理する量が110人分増えてしまったのです。
平穏だった厨房は戦場と化しました。
ところが、2、3ヶ月も経てば、それが普通に見えてくるから不思議です。調理の手順や役割分担を状況に合わせて改善してる様子が、私にも分かりました。
そして、1年前のこと。K1保育園の料理長が出産のため、1年間休職することになったのです。一難去ってまた一難。優秀な料理長で、合計290人分の調理をこなせてたのは彼女がいればこそと、私には見えてました。
若い調理師が暫定的な料理長に就いたので、余計なお世話ですが、私はどうなることかと心配で心配で(笑)。「どんなことでも協力するから、とにかく1年頑張ろう」と彼女を励ましたのでした。(→その日の投稿)
ところがです。頼りなさそうに見えた暫定料理長が大化けした(または、本気を出した)んですよ。間も無く厨房は、料理長の不在を感じさせない雰囲気になり、私は自分の「見る目の無さ」を大いに恥じたのでした。
(写真はイメージ)
さて、来年の春。今度はK2保育園で新たな動きがあるようです。新設のK3保育園にベテラン調理師が移ると共に、近隣のU保育園(定員100名)の給食を受託することになったんです。これは2年前にK1保育園で起きた「出来事」の再現です。
その話を聞いて、K2保育園の調理師とこんな話になりました。
C「K1もK2もだけど、貴女達は頑張り過ぎなのよ」
調「やっぱり、そうよねぇ」
C「無理そうな仕事でも、結局、何とかしてしまうやん。だから、最初は心配してた理事長が『なぁんや、いけるやん』ってなってるわけよ」
調「アハハ。図に乗っとるよな(笑)」
C「そして、頑張れば頑張るほどハードルは高くなると(笑)」
調「うへぇ〜」
もちろん、これは半分冗談で、私なりの彼女達に対する褒め言葉であり、激励のつもりです。
今、気を揉んでいるのは、K1保育園の暫定料理長です。「とにかく1年だけ」と息を止めて頑張ってきたのに、産休明けの料理長はK2保育園に復帰するとのこと。話が違うんですよね。
おそらく彼女は、来春、正式にK1保育園の料理長に就任するでしょう。そして、これまでのように、K1、K2、どちらの厨房も普通に仕事をこなせるようになるんだと思います。
ここまでは、調理師がよく頑張ったという内容ですが、一転、保育園の経営者の側に立てば、実に上手いマネージメントを行なっていることに気づきます。
人間がこなせる仕事量は「能力」と「やる気」と「時間」の掛け算です。
「能力」と「やる気」が一定ならば、仕事が増えた分、「時間」を増やすしかありません。従業員は大残業をする羽目になり、それをブラック企業と呼びます。
ところが、この保育園の経営者は、計画的かつ段階的に調理師達の「能力」を高め、「やる気」を引き出すことに成功しています。だから、仕事が増えても所定の時間内に終わることができます。
言い換えれば、ここの調理師達は質の高い仕事をすることで、量をこなしているということ。彼女達はどんな保育園に移ったとしても即戦力の評価を受けることでしょう。
確かに厳しい職場ではありますが、プロフェッショナルたる調理師のキャリアとしては、良い環境ではないかと。そう思います。
蛇足ですが、注文量はK1保育園が180から290に増えていて、来春からK2保育園が100から200に増える予定です。合計すると280が490で75%増。配達先が増えずに売り上げ大幅アップですから、某青果店にとって大変良い状況になってます。
今度理事長にお会いしたら「調理師達は何とかなりそうですから、給食の受託先をもっと増やしてはいかがでしょう。ウチはまだまだイケますよ」と提案してミルカ(笑)