組踊「二童敵討」阿麻和利登場(4)

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    古波蔵の居酒屋「エール」のマスターと、組踊の立方で重要無形文化財の赤嶺正一さんは小禄中学の同窓生です。

    したがいまして、私がエールのカウンターに座り、隣に国の重要無形文化財が座ってるという状況になることがあります。

    昨年、組踊がユネスコの無形文化遺産に指定され、東京国立劇場で記念公演が開催されました。写真は、阿麻和利を演じる赤嶺正一さん。会場には天皇陛下ご夫妻がいらしてます。

    なんだか、古波蔵の「エール」バンザイです。(^O^)/

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    国立劇場おきなわでは、組踊の保存継承を目的とした研修生制度があり、週4日の夜間、10名ほどの研修生が、組踊の立方と地謡のコースに分かれて、3年間学びます。

    なにしろ、人間国宝や重要無形文化財に指定された方々が先生ですから、研修内容は本格的なものだそうです。

    前の記事のYouTubeは、その研修生による組踊でした。阿麻和利役は川満香多さん。沖縄県立芸大を卒業後、組踊研修生になったそうです。


    言い忘れましたが、「二童敵討」で阿麻和利は「あまおへ」と呼ばれています。当時の呼び名ってことではなく、史実と違うフィクションですから、名前を変えたということ。玉城朝薫が、阿麻和利に気を使ったってことです。


    (終わり)


    組踊「二童敵討」阿麻和利登場(3)

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      玉城朝薫は「二童敵討」の構想を練る過程で、まず、敵討ちをメインテーマにすることを決めたはずです。つまり、勧善懲悪。そして、誰に誰を討たすかを考え、主人公を護佐丸の子(鶴丸、亀千代)と阿麻和利に決めたのでしょう。

      つまり、本当は誰でも良かったんです。

      護佐丸・阿麻和利の乱は1458年。朝薫が組踊に取り組む250年前のことです。朝薫はその史実を当然知っていて、フィクションを創作したわけです。


      冊封使の接待式典で上演された「二童敵討」は冊封使一行に大好評だったそうです。そして、朝薫は「この話は事実だ。」と言ったそうです。

      阿麻和利を討ったのは大城賢勇ですから、それは嘘ですよねぇ。映画やドラマで「これは事実に基づく話です。」と言うのと同じで、リアリティを出したかったのだと思います。

      で、それを信じた冊封使の記録係が、そのままを中国の公文書に記載し、今もその文書が残っているそうです。


      大迷惑してるのは阿麻和利ですよねぇ。もう少し、格好良く死にたかったでしょうに、中学生くらいの子供に討たれたことになっちまいました。

      それから、「二童敵討」は今日に至るまで、何百回、何千回とは上演され続け、組踊の定番中の定番となりました。そして、300年かけて、“忠臣”護佐丸と“逆臣”阿麻和利の立場が決定されたのです。


      「二童敵討」の阿麻和利登場の場面、阿麻和利の名乗り(つまり、自己紹介)を復習してみます。

      出様ちゃる者や
      屋良のあまんぎゃな
      勝連のあまおへ 

      ああ 天の雨風や絶ゆるとも 
      人の望み事絶ららぬ
      この世界の習いや

      ああにやや
      首里城亡ぼすば
      此の天の下や
      我自由しち遊で浮世暮さ

      道障りしゅたる護佐丸も殺ち
      なし子刈捨てて
      肝障り無らぬ

      よかる日選らで
      まさる日選で
      首里いくさすらに
      那覇いくさすらに

      今日明ける廿日
      今日明ける丗日  

      よかる日やこと
      まさる日やこと

      野原出て遊ば
      願立てて遊ば


      人間の欲望にはキリが無い。
      これから首里を討ってしまえば、私の天下だ。
      邪魔者の護佐丸を討ち、子孫も絶やしてせいせいした。
      後はいい日を選んで、首里へ向かえば良い。
      まあ、今日は野原へ出て一杯飲み、願掛けでもしておくか。
      ムフフ。

      ですからねえ、つまり、極悪非道。

      草葉の陰で阿麻和利は、ウチナーグチで「ええかげんにせいよ。」とぼやいているんでしょうね。


      (続く)


      組踊「二童敵討」阿麻和利登場(2)

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        組踊では幕を使いませんから、一つの場面を「場」と呼びます。

        二童敵討は、
        第一場「阿麻和利登場」
        第二場「鶴松、亀千代と母親の別れ」
        第三場「野遊びと敵討ち」その1その2
        の三場面で構成されています。

        鶴松と亀千代は当時12歳と13歳。幼い子供が極悪阿麻和利に対抗する構図です。


        第一場で、阿麻和利が威圧感たっぷりに登場し、野遊びの予定をたてます。

        第二場で、鶴松と亀千代は、これを敵討ちの好機と考え、母親と別れの言葉をかわします。

        第三場で、偶然を装い、野遊びに合流した鶴松と亀千代が阿麻和利を酔わせ、遂に親の敵討ちを果たします。

        なんてわかりやすいストーリーなんでしょう。

        観客は、阿麻和利の七目付に威圧され、母子の別れに涙し、ハラハラし、敵討ちの成功に拍手喝采するわけです。

        水戸黄門からウルトラマンまで、このストーリーは最強なんでしょうね。


        玉城朝薫は琉球王府の踊り奉行でした。つまり、冊封使を踊りでもてなす演出家です。

        朝薫は、江戸上りで上京し、当時、歌舞伎、講談、浮世絵などで人気を集めていた「曽我兄弟敵討ち」や「赤穂浪士」を見て、これだ!!と思ったのかもしれません。

        朝薫が創始者となった組踊は、沖縄の伝統芸能として定着しました。沖縄の村芝居や宮廷舞踊がベースになっていますが、ストーリーや演出面では、能や狂言、歌舞伎などの影響を受けています。

        冊封使を迎え上演されたもう一つの演目は「執心鐘入」。鬼女に追われた男が寺の釣鐘に逃げ込む話で、これは能の演目「道成寺」が下敷になっているようです。


        歌舞伎「寿曽我対面」の中村獅童
        (ことぶきそがのたいめん)
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        (続く)


        組踊「二童敵討」阿麻和利登場(1)

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          沖縄の伝統芸能「組踊」。初めて上演されたのは約300年前、1719年のことでした。

          その年、第二尚氏第13代王尚敬の冊封にあたり、中国から来た冊封使の接待式典が催され、そこで「二童敵討(にどうてきうち)」と「執心鐘入(しゅうしんかねいり)」の二題が上演されています。

          原作は琉球王府の高官、玉城朝薫(たまぐすく ちょうくん:1684-1734)。組踊の創始者です。


          さてこちらは、今年9月に国立劇場おきなわで上演が予定されている、二童敵討のポスターです。

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          「戦乱の世の逆臣阿麻和利を鶴松(ちるまち)と亀千代(かじみゅう)の剣が追う」

          父、護佐丸を討たれた鶴丸と亀千代による敵討ち(かたきうち)の物語で、敵討ちの相手が阿麻和利です。


          YouTubeに、二童敵討の阿麻和利登場シーンがありました。5分ほどですので、是非ご覧下さい。

          こちらです

          首里をだまして護佐丸を滅ぼし、目障りがいなくなった。これで首里を討てば自分の天下だ。今日は野原に出て遊ぼうと言っています。阿麻和利の人生で最高の瞬間と言って良いでしょう。

          YouTubeの映像で、阿麻和利が(ポスターにあるような)見得を切る動作をしていますが、この動作を七目付(ななみじち)と呼びます。自らの威厳を示しているのですね。

          七目付のルーツは歌舞伎の荒事。荒事とは、荒々しく豪快な演技のことで、1673年、「四天王稚立」で初代市川團十郎(1660〜1704)が隈取をとり全身を赤く塗って坂田金時役を演じたのが、荒事のはじまりとされています。

          つまり、江戸上り(えどのぼり)で上京した玉城朝薫は、そこで歌舞伎を見たのですね。


          (続く)


          「虹を見ろ」と言われたので見た

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            今日の夕方「虹が出てるから見ろ」と連絡がありました。玄関を出てみると、南風原町上空に、二連の虹が出てました。

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            今日の那覇は雨の予感がしましたが、夕立ちは無し。

            写真の雲が、いかにも「降らしそうな形」ですが、思いとどまったようです。


            ところで、二本の虹は、色の順が逆なんですね。

            知ってた?

            知ってた。

            そうですか。_| ̄|○


            ボッカ・デラ・ベリタ

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              久茂地交差点角のおきなわ屋店頭にある、ボッカ・デラ・ベリタ(真実の口)です。

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              100円入れたらどうなるんでしょうね。


              映画「ローマの休日」で、あまりにも有名なこのシーン。

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              グレゴリー・ペックが、新人女優オードリー・ヘプバーンの魅力を引き出すために考えた、アドリブだったそうですね。

              ヘプバーンの演技に、「ひょっとするとそうか」と思いましたが、何の考えも無く、素でやったものなら、なお凄いとも言えますね。

              沖縄に遊びに来た若いカップルに、同じようにやってほしいものですが、彼女に「えっ、何やってんの。」と言われてしまうとショボすぎますね。


              ところで、久茂地のこいつは占い機だそうで、100円入れて手を突っ込むと、左の口から紙が出てくるそうです。

              うーむ。

              読者でやった人がいるかもしれんから、何も言わんとこか。


              ロンドン五輪柔道、福見友子選手の敗北

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                今回のオリンピック。私は女子柔道の福見友子が金メダルを獲ると思いましたが、残念ながら、結果は4位でした。

                彼女が高校生の時、当時無敵だった谷亮子を破り、一躍脚光を浴びました。そして北京五輪の前年にも、谷から2勝目をあげたのですが、結局、谷が現役の間は、オリンピックに出場することはできませんでした。

                そして、今回、国内のライバルとの熾烈な代表争いを勝ち抜き、27歳でオリンピック初出場を果たしたのです。谷亮子に最初に勝った日から10年です。


                準決勝まで勝ち進んだ時、彼女は金メダルを確信したのではないでしょうか。なにしろ他の3選手は、一度も負けたことが無い相手ばかりでしたからね。

                ところが、準決勝で敗れ、三位決定戦で敗れ、まさかの4位。

                過去の勝敗は、金メダルの選手に4勝0敗、銀メダルの選手に5勝0敗、銅メダルの選手に3勝0敗。

                準決勝で彼女に勝ったルーマニアの選手は飛び上がって喜んでいましたね。

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                「一生悔いが残る」とコメントしたのはもっともですよねぇ。


                さて、谷亮子の金メダルは、25歳と29歳の時。33歳で出場した北京五輪は銅メダルでした。

                福見友子は次の五輪で31歳。

                見てるだけの者の勝手を言えば、何とか柔道を続けて雪辱を果たしてほしいと思います。

                とは言え、そう上手くいかないのもオリンピックなんだよなぁ。

                どこか来年、オリンピックをやってくれんかな。


                瀬長島で海亀が産卵してた

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                  海亀の産卵シーズンも終盤。沖縄本島各地で、次々と子亀が孵化しています。


                  先週、市街地に近い瀬長島で海亀が孵化し、ニュースになりました。

                  夕方、近所の女性が瀬長島の海岸を散歩していたところ、砂浜を数十匹の子亀が海に向かっているのを見つけたのです。

                  女性からの連絡で那覇市環境保全課の職員が駆けつけ、グンバイヒルガオに絡まっていた子亀十数匹を救出し、こちらも無事、海に帰っていったそうです。

                  グンバイヒルガオってこの花です。

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                  葉っぱが軍配の形をしているのが名前の由来で、沖縄名はハマカンダーです。カンダはウチナーグチで甘藷ですから、こいつは芋の仲間なんですね。確かに、砂浜をビッシリ覆うツルは芋そのもの。

                  ちょっと君たち、ヒルガオグゥアーシーして生えるのは勝手だけど、子亀の通路は避けて生えなさいね。


                  ハマカンダーよりタチの悪いのが護岸壁です。砂浜の奥行が失われ、せっかく産卵しても卵が海水を浴びてしまい、孵化できません。宮古島の城辺町では護岸壁の計画を見直し、砂浜の奥行が確保できる位置に建設場所を変更したそうで、やればできるんですよ。

                  やればできるのに、やらないのが豊見城市です。瀬長島をこんなにするそうで、海亀は何処へ戻ってくるんでしょう。

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                  辺野古の環境影響評価書に「基地移設で消失する海浜はウミガメの上陸に適していない」と書いたアホがいました。今年、その海岸で海亀が孵化したことがわかり、とんだ赤っ恥。

                  どんな釈明をするんでしょう。「すみませんでした。申し訳ない。」と言えば済むのに、またグチャグチャ理屈を言うんでしょうね。


                  海亀は産まれた浜を覚えていて、必ずそこへ帰ってくるそうです。

                  海亀の皆さん。それが大切なことは重々承知していますが、そこをちょと曲げて、離島の砂浜って訳にはいきませんか。

                  いかない。

                  そうでしょうね。余計なことを言いましてすみません。


                  はごーさよー

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                    道路に犬のウンチが落ちてたら、それはウチナーグチで「はごー」。すれ違ったチュラカーギーに気をとられ、それを踏んでしまったら「はっごー」です。

                    宮古言葉の「あがい」と「あっがい」の違いと同じく、ウチナー感嘆詞も、言葉をつまらせることで、感動の度合いを示します。


                    話は変わりますが、昨夜の野村監督の悪口の続きです。

                    先週から今週にかけて、プロ野球はオールスターゲームで、各球団の主力選手が大阪、松山、盛岡と移動しながらゲームをしました。

                    疲れるわけです。

                    ですから、オールスターゲームに出場した投手は普通で明日、ちょっと無理をさせて今夜の試合で登板します。

                    ところが、広島カープの野村監督は昨夜の試合で、エースの前田健太投手に登板を命じたのです。

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                    前田投手は昨夜の試合で今季10勝目。12球団で最も勝てる投手です。オールスターゲームでMVPも獲得しました。年は24歳。あと10年も15年もプロでやっていける優秀な投手です。

                    無理させて故障でもしたらどうするつもりなんですか。なんとかなりませんかね、その目先の1勝にこだわる考え方。


                    監督って仕事は、その年の成績が悪いとクビです。だからと言って自分の保身のために、将来性のある若い選手を使い捨てるようなことをしたら駄目でしょ。

                    今の広島カープには若くて優秀な選手が揃っていて、無理をしなくても2〜3年のうちには優勝できます。ファンの一人としては、そのくらいは喜んで待ちますよ。

                    今年、頑張らなくてはいけない事情があるのは、監督の貴方だけでしょ。


                    誰なんだ、こんな「はっごーな男」に監督を任せたのは。

                    こんなのをウチナーグチで「はっごー」と言うのが正しいかどうかは知りませんが、私の脳内イメージとしては、とてもしっくりきます。

                    はごーさよー(きたないなぁ)。


                    選手を怒っても仕方ないでしょ

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                      JUGEMテーマ:地域/ローカル

                      昨夜の広島カープ対ヤクルトスワローズの試合は、16対12でカープが勝ちました。

                      20120727072835_0.jpg

                      乱打戦で試合が長引き、終了時刻は22時を過ぎてしまいました。選手は今朝の新幹線で東京から広島へ戻り、今夜も試合です。夏の暑い中、本当にお疲れ様です。


                      ところで、試合後の野村監督は12点を失った投手陣が不満だったらしく、えらく怒っていたそうです。

                      変わった人ですよね。試合に勝って喜ばないのなら、いつ喜ぶんでしょ。


                      カープの好調な打撃陣が4回までに13点を奪いましたから、一線級の投手を投げさせる必要が無くなったんです。そして、二線級の投手を投げさせたのですから、打たれて当たり前なんです。

                      13点もリードしてるのだから、追いつかれることは無いと考えた。そして、監督が選んだ二線級の投手たちは追いつかれない程度に投げた。そのおかげで、一線級の投手を使わずに試合に勝てた。

                      文句無しじゃないですか。

                      相手に得点を与えるのがいやだったら、方法は一つ。一線級を投げさせればよかった。だけど、それは次の試合のために休ませたんでしょ。だったら、それでいいじゃないですか。


                      このタイプの管理職は世の中にたくさんいまして、たいていの場合、打たれた投手を集めて、こんなふうに言うんですよ。

                      「いったい何やってんだ、しっかり投げないと駄目じゃないか。次はしっかり投げろよ。」

                      それができる投手を一線級と呼び、できない投手をニ線級と呼ぶのです。どちらを試合に出すのかは、監督が決めるんです。

                      で、野村監督は、何を怒ってるんでしたっけ。

                      沖縄ではこんなのを、「いみくじピーマン」と言いますが、簡単に「いみ!!」でもOKです。


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