二、三日前、私は農連市場名嘉鮮魚店のターボーとこんな相談をしてました。
C「保育園からワカサギ300匹の注文なんだけど、何キロになる?」
タ「一匹何グラムってわからんけど。うーん、50グラム位か?」
C「てことは、100匹で5キロか。」
タ「ワカサギは5キロの箱単位だから、何匹って言われても、大雑把になるよ。」
C「あぁ、そら気が楽や。じゃあ3箱仕入れといて。15キロね。」
タ「オッケー!!」
そして今日が納品日。保育園に到着し、箱の一つを開けてみると、そこにはワカサギの大群が。
無茶苦茶います。ヘタをすると、一箱に千匹くらい入ってるんじゃないでしょうか。
はかりを借りて、試しに10匹の重さを計ってみたらあなた、衝撃の60グラム。一匹6グラムじゃないの。
てことは、5キロ箱には推定800匹のワカサギが泳いでおり、それが3箱で2,400匹!!
どっひゃ〜〜〜!!
とりあえず、保育園には2キロを納品し、残り13キロのワカサギは、私と一緒に市場へ戻ることになりました。
かかる状況に至ったのは、ターボーが一匹50グラムと言ったことが原因ではありますが、責任がターボーにあるかと言えば、それはちょっと違います。
ワカサギ一匹が50グラムなんて、少し考えれば誰でも間違いだと気付くはず。ところがそれを、私も保育園の調理師も見逃してしまいました。
つまり、「ワカサギ」は単なる記号、もしくは商品コードなんです。つい最近まで、湖を泳いでいたリアルなワカサギを誰もイメージしていない。仕事で扱ってると、思考経路がコンピュータみたいになってるんですよ。
再び、名嘉鮮魚店。
C「おい、どうする?」
タ「ワカサギは魚市場に返品できないんですよ。」
C「他の保育園から、ワカサギの注文は無いしなぁ。」
タ「う〜ん。参ったな。」
C「今朝の保育園には、5キロ単位ってことは伝えてあるから、あと3キロは引き取ってもらうわ。」
タ「だけど、2キロで足りてるんでしょ。」
C「だから、来月くらいにキビナゴのフライがあるとしたら、ワカサギにするって感じかな。つまり、2回分。」
タ「冷凍だから、品質は大丈夫だけどね。」
C「じゃあ、あと10キロか。他の保育園にも頼んでみるから、二、三日は持っといて。でも、あんまりアテにしないでよ。」
タ「わかりました。なんとかお願いします。」
さて、午後の配達の一ヶ所目。
C「近々、ワカサギの天ぷらとか、予定ありませんか?」
調「ワカサギは無いわねぇ。どうしたの?」
C「いやぁ。ある保育園の注文が一桁違っちゃいまして。」
調「えっ?一桁?。で、いくら余ってんの?」
C「10キロ。」
調「うわぁ。でもそれ、わかるわぁ。よくやるのよ。あっ、ちょっと待ってね。」
C「すみません。」
調「来週使えそう。2キロだけどいい?」
C「やった!!、ありがとうございます。いやぁ、助かります。」
調「いつもCさんには無理を聞いてもらってるから、いいわ。」
そして、二ヶ所目。
調「金曜日に使うから、木曜日に5.5キロ持ってきて。」
C「えっ?。5.5キロ!!。うわぁ、5.5キロ!!」
こっ、これはターボーに電話しないと。
C「ターボー!!、やったで!!」
タ「えっ、どうしたんですか。」
C「うっ、売れた!!」
タ「本当ですかっ!!。で、何キロ!?」
C「フフフ。7.5キロ。」
タ「7.5キロ!!。助かったぁ。ありがとうございます。いやぁ、良かった。」
C「残りは明日ね。」
タ「いったいどうやって。Cさん、魚屋やりませんか(笑)」
C「その代わり、原価だよ。ターボーの仕入れ値に消費税率を掛けた値段で、ウチに卸して。ウチもそうするから。」
タ「了解です。そうします。」
なんというハッピーエンド。
よし、明日も頑張るで!!
残るは2.5キロ。417匹(笑)。