JUGEMテーマ:地域/ローカル
某保育園の料理長は80歳に近いはず。男前だし背筋は伸びており、ニコッと笑う顔もナカナカ良い感じ。「孫ができたらあんなオジぃになりたい」と思わせるような男です。そして、某保育園の園長とは兄弟だそうで、自ら辞めると言わない限り、料理長の座は安泰なのであります。
さて、園児達の今日のお昼はイカスミ汁。白イカ5キロとイカスミを届けました。その配達からの帰り道。某保育園の調理師から電話があり、イカスミが全然足りないとのこと。
C「えっ、イカスミ4パック入れてますよ」
調「それじゃあ、全然足りないのよ」
馬鹿を言ってはいけません。4パック注文を受けて4パックを届けた私に、いったいどうせよと。そして念のため、農連市場名嘉鮮魚店のターボーには「4パックだと余りますよ」と言わせてる私です。
これは動いてはいけない状況と言えます。慌ててスーパーに駆け込み、イカスミを買い足したりすると、きっと良くないことが起きるでしょう。
「料理長と電話を代われ」と言えないのが辛いところ。この料理長はオジぃですから耳が遠く、話す言葉もはっきりしません。私は直ちにUターンし、某保育園に引き返したのでありました。
料「イカスミが、これしか無いんだよ」
C「ハァハァ。足りないってのはナマのイカスミね。そういうことかぁ」
料「前回注文した時は、たっぷりイカスミが入ってて、予備のイカスミ(パック)は必要なかったんだよ。ところが今日のイカはなんだ。これしか無い」
C「料理長。それは魚屋が内臓を取り出す時に大切に分けたもので、イカスミが有るか無いかは開いてみないと分からないんですよ。だから予備の・・・」
料「いいや。本物とパックは似て非なるものなんだ。味わいが全然違う」
C「それはそうでしょうが、イカを開いてみないと・・・」
料「前回は園児が残さず食べてくれたんだよ」
調A「イカは死んでるから、聞いてみるわけにもいかないさぁねぇ(笑)」
調B、調C「ほんとよねぇ(笑)」
C「料理長。申し訳ないけど、前回は運が良くて、今回は運が悪かったってことで・・・」
料「仕方がないな。魚屋にちゃんと言っておきなさい」
C「はっ、かしこまりました」
場面は変わりまして、農連市場の名嘉鮮魚店。
C「だそうだ」
タ「えっ、と言いますと?」
C「だから、白イカを選ぶ時にね。一匹一匹、イカスミを持ってるかどうか聞きなさいってこと」
タ「Cさ〜ん。それは無理って・・・」
C「仕方がないだろ。オジぃがそう言うんだから」
タ「ほんと、どうすりゃいいんですか」
C「まあな。イカが嘘をついたり、ターボーが聞き間違えるってこともあるから」
タ「そんなぁ」
C「なんだよ、キロ2千円も取ってんのに」
タ「いや、それはまた違う話で・・・」
C「まあオジぃはともかく、調理師達は今回バシッと理解したから、次からはうまくオジぃをヨシヨシしてくれるやろ」
タ「あぁ、それを聞いて安心しました」
このオジぃ料理長。例えば鮭を注文して、私がそれを届けると、
「なんだこの鮭は。おにぎりに使うだけなのに、こんな上等持ってきて」
とか、
「今日はバター焼きなんだ。もっと上等な鮭にしてくれ」
とか、まあ、うるさいこと。
とは言え、園児が残さず食べてくれることがオジぃ料理長の生きがい。その想いがヒシヒシと伝わってくるので、私もできることなら協力したい。
それにしても、イカに聞いてみるってのは、無理よねぇ(笑)