つまらない話で恐縮ですが、産経新聞あたりがしきりに主張している「逆さ東アジア地図」。
中国の海洋進出を阻むかのように横たわる、朝鮮半島から九州、琉球弧を経て、台湾に至る第1列島線。
岩礁を次々に要塞化することで、南シナ海への海洋進出を果たした中国は、次に尖閣、沖縄に侵攻してくると。そればかりか、伊豆諸島からグァムに至る第2列島線まで進出を目論んでいると。
これは大変だと(笑)
そして、第2列島線まで中国の支配下となったアカツキには、朝鮮半島と西日本は中国領となり、日本人は東日本の自治区に追いやられ、チベットやウイグルみたいになると。
ネトウヨやそれに近い思考回路の人達は、こんな話が大好きです。だから、早く辺野古を埋め立てろと(笑)
「少しは考えろよ」と言いたい。
日本が東西に分断された地図は、中国の某機関から流出し、日本の誰かが独自のルートで入手した(笑)と聞きますが、それは嘘です。
それを本当だと言うのなら教えて下さいな。某機関って中国のどんな組織ですか?。日本の誰がどうやって入手したんですか?。流出したのはこの地図1枚だけですか?。原本は誰が持ってるんです?。こんな失礼な話に、日本の外務省は抗議したんですか?
中国が海洋進出を意図しているのは事実で、第2列島線まで支配したいと考えているのも確かでしょう。
そのことだけを元に「第2列島線まで中国に支配されると、日本は分断される」と仮説を立てた"ある日本人"が、この地図を書いたんですよ。それは、このテの話を商売にしている人。本は売れたし、講演料も稼げて良かったねって話に過ぎません。
この分断地図を見ると、朝鮮半島は朝鮮省となり中国に組み込まれています。それを阻止するためには、日本は北朝鮮の非核化に影響力を発揮し、韓国との軍事協力体制を強化しなくてはいけません。
ところが、それとは真逆に、北朝鮮にミサイルを打ち込めだの、韓国とは国交断絶しろなどと言ってるのは、この地図が大好きな人達でしょ?。結局、日本を分断したいと思ってるんですかね(^^)
GDP世界2位の中国と、世界1位、3位の日米が全面戦争を起こすことはあり得ません。それは誰の得にもならないからです。より具体的に言えば、中国軍が日本本土に上陸することは無いし、日米連合軍が中国本土に上陸することも無いと言うこと。
一方、東シナ海のどこかで紛争が起きる可能性は大いにあります。
それが朝鮮半島なのか、九州西海岸なのか、沖縄なのか、台湾なのか。いずれにせよ、それは尖閣を含む東シナ海の海上か、沿岸部になるでしょう。そうはならないように、日米も中国も細心の注意をはらっているのに、それを煽ってどうするんですか。そんなに戦争がしたいの?
この話と沖縄の海兵隊基地はまったく関係ありません。海兵隊は空や海を使って移動はしますが、主戦場は陸地です。海上や沿岸部に用事は無いんです(米軍が中国本土に上陸するのなら、話は別)。
こう言うと、「フィリピンは米軍を追い出して、南シナ海の岩礁を中国に奪われたじゃないか」って話になりますね。
フィリピンに駐留してたのは米国の空軍と海軍です。日本から嘉手納の空軍と横須賀の海軍が撤退したら、確かに東シナ海は中国の海になるでしょう。
フィリピンには、昔も今も、海兵隊はいません。つまり、空軍と海軍が制空(海)権を確保できていれば、領空(海)は守れるということ。沖縄に海兵隊が必要だとする説明にはならず、むしろ、いなくても良い事例として使えそうです。